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水冷と空冷の比較・違い|PU/CPUクーラー/バイクエンジン

社会人常識

PCなどで水冷式って聞くけどこれは何だろうと思ったことはありませんか?エンジンのスペックに強制空冷と書かれていて、なんだか良く分からなくなった経験のある人もいるでしょう。今回は水冷式空冷式の原理の説明やそれぞれの特徴、どちらを選べばいいのかについて紹介します。

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水冷と空冷の比較

エンジンやPCなどさまざまな熱を発することの多い製品で見かける水冷式という言葉と空冷式という言葉。どちらも冷却方式をさす言葉ですが比較した場合に発熱部分の熱を、空気を使って冷やす(=空気に熱を伝える)のが空冷式で、水を使って冷やす(=水に熱を伝える)のが水冷式となります。 夏場の暑い時にどう涼むかで例えると、扇風機を使って風を浴びて涼むのが空冷式で、プールに入って涼むのが水冷式とイメージすることができます。なお、水冷式でも熱くなった水を冷やすための部品が存在していてその部分だけを見れば空冷式ともいえます。

水冷と空冷の違い

水冷式と空冷式の違いは、水使って冷やすか空気使って冷やすかしか無いのですが、その冷やすための仕組みが水冷式と空冷式では大幅に異なり、基本的には空冷式は簡素で廉価、水冷式は複雑かつ高価になる傾向が存在しています。

性能には優れるが複雑な水冷式

水冷式のもっとも大きな特徴は空冷式に比べ性能が高いことになります。これは水が大きな熱容量をもっているためです。例えば気温30度の日は大変暑く感じますが、水温30度のお風呂に入れば夏でも寒く感じることでしょう。 逆に銭湯などで良く見かけるサウナは温度が80度ほどあり大変暑いのですが、水温80度のお湯は熱いどころか火傷してしまうでしょう。これは空気と水では温度を上げるために必要なエネルギー量が異なるためで、言い換えると同じ温度でも蓄えられているエネルギー量が異なるためです。 そのため、体温より低い空気と水では空気では、空気は一瞬で温まるためほとんど体温を奪われないのですが、水は温めるのにはるかに大きなエネルギーが必要なため猛烈な勢いで体温を奪われます。逆に、サウナの80度の空気は持っているエネルギーが低いため体はあまり熱くなりません。 同じことが水冷式にも当てはまり、水冷式の冷却方式は循環する水により熱を猛烈な勢いで奪うことが可能なため、基本的には空冷式よりも性能が高い場合が多くなっています。しかし水を循環させる仕組みと温まった水を冷やす仕組みなどが必要なため空冷式より構造が複雑になります。 まためったにある事ではありませんが、空冷式とは異なり冷却水を使用することから水漏れのリスクをかかえることになります。最終的には熱を奪い温まった冷却水を冷やすための構造が必要なため、冷却水の熱をさらにどこかに逃がす構造が必要でこの部分はたいてい空冷式です。 これら水冷の、高性能、複雑、システムの規模が大きくなるという特徴から、極めて高い熱を発する部品の冷却や、全体として大量の熱を発生させる大型の機械の冷却などに主に用いられる冷却方式となっています。

簡素な空冷式

空冷式はその名のとおり空気を使って冷やします。送風機などを使って風を当てて冷やすものは強制空冷式とも呼ばれます。水冷式よりも性能には劣りますが、その特徴はなんと言っても簡素で壊れにくいことです。 とりあえずそのまま空気中においておけば空気によって冷やされて空冷式ですし、ヒートシンクと呼ばれる表面積を増やすような部品を取り付けることで効率を上げたり、ファンを取り付け強制的に風を送るようにすればよりいっそう冷却性能は高くなります。 これら空冷の、簡素、軽量、構造によってはメンテナンス不要という特性から、小型機器や、あまり熱を発することの無いもの、信頼性を要するがメンテナンスを行い辛い製品などで用いられる冷却方式となっています。

PCの水冷と空冷の違い

近年のPCは技術が進歩し必要十分な性能を省エネで駆動させるものも増えてきてそれらは小型で空冷、物によっては風を送るファンすら無いものも存在しますが、逆に高性能な製品においては消費電力とそれに伴う発熱量が増大し冷却はシビアな問題となっています。 そのため、高性能なPCを使うユーザの一部を中心に高まる発熱量への対応として水冷式のクーラーなどを導入する例が増えてきています。その他、空冷式のファンの音を嫌い上手くやればファンを使わずに構成できるため静かなPCにするために水冷式クーラーを導入する人も居ます。

PCにおける水冷式のメリット

・冷却性能の高さ 紹介してきたように水冷式は大きな熱容量を持つため空冷に比べ性能が高いです。 ・内部空間が使いやすくなる 空冷式はその場で放熱するため大きなヒートシンクなどを取り付ける必要がありますが、水冷式は熱を移動するシステムで放熱用ラジエターは別な場所に取り付けることができるため、スペースに余裕が生まれることがあります。 ・静かになることもある 空冷式ではたくさん冷やすためにはファンを高回転にする必要がありますが、水冷式の場合たくさん冷やすためにポンプを高回転にすると冷却水がラジエターで十分冷やされなくなるためポンプの回転数を上げる意味はありません。 冷却水を冷やすためのラジエターにはファンが付いていますが、そのファンを高回転にするよりもラジエターを大きくしたほうが性能が良くなるため、ラジエターのファンもうるさくなることはあまりなく、一般論として水冷式は空冷より静かです。 ただし、ファンレス空冷など静穏設計のものは水冷よりさらに静かでしょう。

CPUクーラー

PCの水冷には、自分で冷却経路や水枕、ポンプ、ラジエターなどを接続して冷却システムを構成し冷却水の補充などメンテナンスの必要な純然たる水冷と、それらをひとつのパッケージにしてメンテナンスフリーで取り付けるだけの簡易水冷が存在しています。 Intelが純正のCPUクーラーとしても簡易水冷を採用したこともあり、簡易水冷にも一定の信頼性と性能がありますが、構造が限られることで、純然たる水冷と比べ冷やせる部位を増やせないなどデメリットも存在しています。

外気温以下に冷やすことは出来ない

空冷式は直接、水冷式ではラジエターを通して間接的に、大気中に熱を放出します。熱の放出とは温度差を交換することなので、いくら水冷式を使ったからといって外気温以下に冷やすことはできません。

バイクのエンジンは水冷と空冷どちらが良い?

水冷式は空冷式よりも冷却効率を高めるために生み出されました。そして水冷式は冷却効率が高く全体的に温度が均一になりやすいことからエンジン自体の熱膨張を考えたゆとりを少なくシビアに設計することができるため、高性能化しやすくなっています。 さらに空冷式に比べ燃焼温度を安定させやすいことから環境対策の部分で有利で、冷却水を通すジャケットが存在する構造から騒音も少ないため、バイクのエンジンであっても規制が強くなるにつれて空冷式は徐々に淘汰されていきました。 原付など元々軽量で燃費も良い製品などでは空冷も主流として残っていますが、性能面などでは水冷に分があります。

オイルクーラーは水冷と空冷どちらがいいのか?

一般的な4ストロークエンジンにはエンジンオイルと呼ばれるオイルが入っています。エンジンの稼動に伴いこれの温度も上昇しますが、上昇し過ぎるとあまり良くないため、このオイルを冷やすオイルクーラーと呼ばれる部品が搭載されている場合があります。 この、オイルクーラーにも水冷式と空冷式が存在していて、レースカーなどエンジンがより酷使される状況では水冷式のものが選択されます。また周囲に水が豊富に存在する船舶などでも水冷式のオイルクーラーが選択されることがあります。

空調は水冷と空冷どちらがいいのか?

エアコンの水冷式は、冷やした水で冷房するものと、冷媒の冷却に水を使用するものが存在しています。前者の水冷式エアコンは俗に井戸水クーラーとも呼ばれ夏場でも冷えている地下水を利用して空調します。現在ではほとんど存在していません。 後者は大規模なビルなどで使われる業務用エアコンで、冷却塔などが必要となり大規模なシステムになり、家庭用エアコンの性能が高くなったことや家屋の気密性が高まり冷暖房効率が上がったことから家庭用は存在していません。

コンプレッサーは水冷と空冷どちらが良い?

空気を圧縮すると熱が発生します。空気を圧縮する装置であるコンプレッサからは空気の圧縮に伴う熱と、機会の作動に伴う熱が発生します。小型のコンプレッサではほとんど水冷式は存在しませんが大型で扱う空気量や作動に伴う熱量が大きいコンプレッサでは水冷式のものも存在しています。

用途に応じた冷却方式を選ぼう

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「水冷式が良い。空冷式が良い。」ということは無く、どちらにもメリットとデメリットが存在することはお分かりいただけたでしょうか。特徴ごとに空冷式しか存在しないものや、水冷式しか存在するもの、その両方が存在するものさまざまな製品が存在します。 自分の使いたい用途や大きさなどに合わせて、最適な冷却方式を選ぶことが大切です。

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